もう4年も経ったんだね。
あの日僕は夜から仕事で、昼は近所で買い物していて地下にいた。
当然危機感なんてない。
「日常」を過ごせることに何の疑問もなく、ただ普通に買い物していた。
地震が起こった瞬間も最初は「すぐに収まるだろう」となんの根拠もなく勝手に思ってた。
その数秒後ありえないぐらいの揺れが襲った。
急に怖くなり急いで外に出ると、車は止まって歩道や屋内にいた人達が車道に出ていた。
僕も車道に出るとコンクリートの地面がありえないぐらい畝っていて立つことすら困難。
あんなに大きな地震はもちろん経験したことはなく、何が起こったか理解することもできなかった。
慌てて家に戻ると家の中はぐちゃぐちゃ。
TVをつけるとあの悲劇が報道されていた。
意味がわからずただ呆然とするしかできない。
電話は回線がパンクしていて家族にも繋がらない。
恐怖というかなんというか一度にあそこまで起こるとしばらく立ち尽くすしかなかったよ。
家族や友達とはなんとか連絡がつながりみんな無事だったから一安心だったけど、
あの光景がずっと報道されていて、気を失いそうなぐらいの気持ち悪さに襲われたことを覚えてる。
もちろんその日の仕事はキャンセル。
というかその日から約2、3ヶ月間、9割の仕事がキャンセルになった。
僕の仕事はエンターテイメントです。
つまり人が生きていく上で必須なものではありません。
もちろん頭では理解してたけど、あの光景や仕事がほとんど無くなった現実に直面した瞬間に思った。
「俺の仕事って世の中に必要なんだろうか?」
マジックをしてもお腹は満たされない。
マジックをしても疲労は回復しない。
マジックをしても助けられない。
奇跡は起こせない・・・
本気でそう思ってしまった。
喪失感だけが残り、空っぽになりかけた。
自分の無力さを知った。
そんな数ヶ月を過ごした気がする。
あの時は本当に何をしていいかわからず、正直若干記憶が曖昧になっているんだ。
ふとTVを見ると、いろんな人が被災地に行って支援をしていた。
もちろん芸能人の方たちも。
自分達ができることを精一杯していた。
ある歌手の人が被災した人逹に向けて歌を唄ってエールを送っていた。
ある芸人さんが漫才をしてみんなを笑顔に変えていた。
あるタレントさんは炊き出しを手伝いながら1人1人と目を合わせ手を握って励ましていた。
僕はそれを見て、この仕事を続ける決心ができた。
生きていく上でエンターテイメントは絶対に必要ではないと思う。
お腹は満たせない。
でも心は満たせるかもしれない。
笑顔にすることができるかもしれない。
心の負担を少しだけでも軽くしてあげることができるかもしれない。
その可能性を信じたい。
あの時そう思うことができたから、
今日も僕は仕事を続けることができています。
もちろんいろいろな人達に支えられながら。
被災地の
宮城県にボランティアに行った時、驚いたことがあります。
復興途中の町の小学校でイベントを行ない、
たくさんの人達が見に来てくれました。
もちろん子供たちもたくさん。
まだ仮設住宅で生活している人達も多く、決して心の傷が癒えたわけではないのに、
僕に見せてくれたのは満面の笑みでした。
子供達と遊んでいる時も、いろんな話をしているときも
みんなずっと笑顔でした。
「生きている」ことに純粋に感謝をしている人達の心は本当にキレイです。
パワーを届けにいったはずの僕が逆にパワーをもらっていました。
もっともっと気合が入りました。
あの時のみんなありがとう。
楽しんでくれてありがとう。
笑顔を見せてくれて本当にありがとう。
僕はあの日の出来事を絶対に忘れない。
あの日感じた恐怖を忘れてしまうことがとても怖い。
僕は戦争を経験はしていないけど、歴史の授業やおばあちゃんから聞いた話で子供ながら本当に恐ろしくなった。
大事なのは経験したことを、経験してない人達に伝えることだと思う。
津波の恐ろしさを知っていれば、もっと多くの人が避難をしただろう。
生きていることが当たり前だと思わなければ、犠牲者はもっと少なかったかもしれない。
知ることで最悪の事態が回避できるかもしれない。
悲劇を繰り返さないためにも。
1人でも多くの人を救えるように。。。
ものすごい長文になってしまいましたが、
いろいろ思うことがあったので僕なりの伝え方をしてみました。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
最後に被災地に行った時に撮った写真を載せますね。
あらためて震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申します。